島根県立美術館の森山大道写真展「光の記憶」のレビュー

ゴールデンウィークは島根県に行ってきました。

目的は観光なんですが、現在島根県立美術館で開催されてる写真家の森山大道さんの写真展「光の記憶」を鑑賞することも一つの目的です。

20年前にもここの島根県立美術館で森山大道さんの写真展「光の狩人 」が開催されてまして、私はそれを20年前に見ました。

20年後にまた島根県立美術館で森山大道さんの写真展が開催されるわけです。

その20年の間、フィルムからデジタルに変わったとはいえ、今でも自分は写真を撮ってるわけでして、いろいろ思うこともあり20年後に島根県立美術館で開催されることになった森山大道さんの「光の記憶」を見たくなったわけです。

 

そんでもってブログで写真展のレビューも書いて見たくなって、久しぶりにこのブログを更新した次第です。

 

森山大道の「光の記憶」は代表的な写真のオンパレード

正直、20年前と違って現在の自分は森山大道さんの写真にはあまり興味がなく、今回の島根県立美術館での森山大道さんの展示にはワクワクもなく期待もしてなかったんですが、いざ展示室に足を運んだら考えが変わった。

森山大道さんの代表的な写真のオンパレードで、森山大道ファンだったら一度は写真集や雑誌やエッセイなどで見たことのある写真だと思います。

そしてほとんどがオリジナルプリントだと思われます。

初期の写真なんかはバライタ印画紙に焼かれてフェロタイプの乾燥までされていて、とても丁寧に焼かれたプリントでした。

最近は印画紙に焼き付けられたモノクロプリントもあまり見なくなったので、とても新鮮でしたね。

現在の森山大道さんはデジタルで撮影してますし、若かりし頃の写真に比べると「過剰」な部分が削げてしまった感はありますが、若かりし頃の「過剰」な森山大道さんの生のプリントを見てると、20年前に夢中になってモノクロ写真を撮ってた頃の自分を思い出したりで、なんとも言えない気持ちななりました。

今の森山大道さんの写真のイメージでは雑踏なんかでのストリートスナップのイメージが強く、写真の見せ方もたくさんの量で郡で見せる見せ方なんですが、初期の写真なんか見てると発表の場が写真雑誌がメインだったこともあるのか、少ない枚数で見せる見せ方というか、今の森山大道さんの写真の見せ方と違う点が感じ取れましたし、旅の中での撮ったものが多かったのも興味深かったです。

若かりし頃の森山大道のモノクロ写真は「過剰」すぎた

そして何よりもモノクロ写真での「過剰」なばかりの焼き込みですね。

森山大道さんの代表的な写真の中でもけっこう有名な写真だと思うんですが、モノクロで撮った桜の写真が興味深かったですね。

なぜなら、素人が焼いたようなモノクロプリントだからです。

自分もこの桜の写真は森山大道さんのエッセイかなにかに掲載されてるものを見たのが始めてだったのですが、改めて本人が焼いた生のプリントを見てたら、モノクロプリントの初心者が初めて焼き込みしました、っていう感じのモノクロプリントだったので思わず笑ってしまいました。

森山大道さんって言うと、若かりし頃に写真家の細江英公さんの助手をされてたそうで、それも細江英公さんが三島由紀夫を撮った代表作の「薔薇刑」の写真を焼いたのは森山大道さんとのことで、かなりクオリティの高いモノクロプリントに仕上げてるのです。

そういうクオリティの高い写真を焼ける人が、素人が焼いたようなモノクロプリントを焼いて発表するっていうのも、当時の森山大道さんはどういう心境だったのかな?と桜の写真の前でしばらく考えてしまいました。

若かりし頃の森山大道さんって尖ってたんでしょうし、モノクロ写真の表現の自由度が高いというか。

「写真でできることはなんでもやったろ」的な実験的なこともしてたのかもしれませんね。

写真の焼き込みから伝わってくる「自意識過剰」さから森山大道さんの当時の写真との向き合い方が見えて来るように感じました。

「光の記憶」は銀塩モノクロ中心の展示

今回の島根県立美術館での展示は森山大道さんの銀塩時代の写真が中心でした。

展示の一つにスライドの展示があったのですが、こちらのスライドの作品はデジタルで撮られた比較的最近のものだと思われます。

これと似たような展示を兵庫県立美術館で見たような記憶があります。

あと森山大道さんの作品で有名なハーレーダビッドソンのシルクスクリーンも展示されてました。

スライド作品とシルクスクリーンの作品以外は、銀塩のモノクロプリントの展示です。

現在の森山大道さんってデジタルで撮影してますし、デジタル出力の大きなめな作品が多いですよね。

 

しかし、今回の島根県立美術館での展示は銀塩時代の写真に絞って展示したのは興味深いです。

最近のデジタルで撮影された作品も展示しても良かったのでは?と思ったのですが、銀塩時代の代表作を集めた今回の展示だったからか要点が絞れてて、見やすかったのかもしれませんね。

 

デジタルで撮影するようになった森山大道さんの現在の写真の見せ方と、銀塩時代とでは明らかに線引できるくらい違いがあるので、今回の島根県立美術館の展示ってある意味「前半」と言っても良いのかも。

島根県立美術館で、次に森山大道さんの展示をする時は「後半」のデジタルの森山大道さんの写真をメインに展示してほしいですね。

 

現在の森山大道さんのデジタルの写真の展示は、一点一点のサイズが大きくなってるので迫力がありますし、スライド作品もあったり。

印画紙に焼き付けたモノクロプリントをフレームに入れて鑑賞するようなスタイルではないので、体感型の展示というか・・・・

 

次はデジタルの森山大道さんの大規模な展示を期待してます。

個人的には現在の森山大道さんのデジタル出力の展示が好きかな。

 

もしもそうなったら、また松江に行きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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